RAW現像で仕上げる水中写真の色彩補正|水中撮影|Step13

RAW現像とは、RAWデータ(撮影後に明るさや色を調整しやすい写真データ)を使って、水中写真の色や明暗を整える作業です。水中では青かぶり(写真全体が青く見えること)や白飛びが起こりやすく、撮影後の調整で印象が大きく変わります。この記事では、TGカメラでRAWデータを扱う意味と、海らしい色を残しながら写真として整える考え方を解説します。
私がダイビングに出会う前は、陸の風景やポートレートを中心に、RAW現像を前提に撮っていました。水中撮影をはじめるにあたって、TGカメラを手に取ってまず驚いたのが、馴染みのあるRAW撮影にこのTGカメラも対応していることです。水中の青かぶりや明暗差を後から整えられる余地があるため、カメラにとって過酷な環境で撮影した一枚であっても、極限を目指して現像できる安心感があるのはうれしい事です。

インドネシア バリ島/TG-6にて撮影
1.RAWデータは情報量が多い
RAWデータは、JPEGよりも多くの情報を残せるファイル形式です。撮影後に明るさ、色味、コントラストなどを調整しやすく、写真の仕上げに幅を持たせられます。カメラ本体でどのファイル形式で保存できるかを選択できるので、その選択肢でRAW形式を選択するとRAWデータでいつものSDカードに保存ができます。ただし、JPEGと違ってRAWデータを開ける端末が限られるので、この点はご注意ください。(最近はスマホでもRAW現像ができるアプリが公開されていますので、そのようなキーワードで検索したアプリですと開封や現像ができるかと思います)
水中では、透明度、水深、太陽の向き、ライトの有無によって被写体の色の出方が変わります。水中で完全な色・露出(明るさ)に合わせるのが難しい場面でも、RAWで残しておくと、あとから落ち着いて画像を補正することができます。
後から調整できる余裕があるぶん、水中では設定をあれこれ触るより、ピントと明るさの安定に集中できます。浮力や周囲への注意を保ったまま撮れることも、RAWで残す利点のひとつです。
TGカメラで旅先の海を撮るとき、二度と同じ状況に戻れないことも多いです。私が知床で流氷の海に潜ったときのように、そう何度も行けない場所ほど、RAWで残しておいてよかったと感じます。大切な一枚ほど、RAWで記録しておくと安心感があります。特に色や明るさを丁寧に仕上げたい写真では、RAWの情報量が仕上がりに効いてきます。

2.青かぶりを後で調整しやすい
水中写真でよくある悩みが青かぶりです。水深が増すほど太陽光が届きにくくなり、写真全体が青や緑に寄って見えることがあります。
RAW現像では、ホワイトバランスや色かぶり補正を後から調整しても画像が破綻(=JPEGを補正するよりも劣化)しにくいのが特徴です。撮影時にWBオートで撮った写真でも、あとから少し暖かい色に寄せる補正をすることで、サンゴや魚の色が自然に見えることがあります。
ただし、水中らしい青さをすべて消せばよいわけではありません。海の雰囲気を残したい写真では、水中らしい青色を少し残したほうが自然です。TGカメラで撮った水中写真を現像するときは、被写体の色を整えつつ、海らしい空気感も残す意識が大切だと考えています。

3.白飛び・黒飛びの救済がしやすい
RAWデータは、JPEGに比べて白飛びや黒飛びを調整しやすいのも利点です。水中では太陽光が入る明るい水面と、岩陰やサンゴの暗い部分が同じ一枚の画角に入ることがあります。
明るい部分が少し飛び気味だったり、影が暗く沈んでいたりしても、RAW現像でハイライトやシャドウ(明るい部分と暗い部分)を調整すると見やすくなる場合があります。
とはいえ、完全に白く抜けた部分や真っ黒につぶれた部分は、RAWでも戻せないことがあります。(この状況を、白つぶれ・黒つぶれと呼びます)撮影時に明るさを確認し、極端に明るさを外さないことがRAW撮影のポイントです。RAWは失敗を全部直す魔法ではなく、よい素材をより整えるための余裕・バッファと考えると扱いやすいです。

4.JPEGとの使い分け
RAWとJPEGは、どちらが正解というより、メリットデメリットを理解した上での使い分けが大切です。JPEGはそのまま見やすく、保存や共有がしやすい形式です。撮ってすぐ確認したい写真や、軽く記録として残したい写真には扱いやすいです。
一方で、RAWは後から丁寧に仕上げたい写真に向いています。色を追い込みたい水中マクロ、青かぶりを調整したいワイド写真、明暗差が大きい場面などではRAWの強みが出ます。
記録形式に限らず、選択肢が増えるほど操作に気を取られやすくなります。その日の撮り方をある程度決めておくと、安全確認に余裕を残しながら撮影の違いを試せます。
TGカメラでは、RAWとJPEG両方のファイルを保存する設定がありますので、大容量のSDカードを使用している方はこの設定で保存するのがおすすめです。

5.撮影時に明るさを大きく外しすぎない
RAW現像を活用するうえで大切なのは、撮影時に露出(明るさ)を大きく外しすぎない=(適正な明るさで撮る)ことです。あとで調整できるからといって、極端に暗い写真や明るすぎる写真を撮ってしまうと、仕上げが難しくなります。※ノイズがのって写真が汚く見えてしまいます。
水中では、モニターで見た明るさと帰ってから見る明るさが違って感じることがあります。撮影時に一度確認し、白く飛びすぎていないか、主役が暗く沈みすぎていないかを見る習慣をつけて、適切な明るさで撮影することが大切です。
TGカメラで撮るときは、ライトやフラッシュの強さ、被写体との距離、背景の明るさも一緒に見ます。中性浮力を保ちながら落ち着いて撮影し、必要なら少し角度や光を変えてもう一枚撮っておくと、現像時に選択肢が増え、成功写真が増えるきっかけに繋がります。

6.まとめ
RAW現像を使うと、水中写真の青かぶりや明暗差を後から整えやすくなります。ただし、RAWは失敗を全部直すものではなく、現場で撮った素材をより丁寧に仕上げるための余裕です。
次に大切な一枚を撮る場面では、JPEGだけではなくRAWデータも保存して、ぜひRAW現像にチャレンジしてみてください。









