コンバージョンレンズの使い分けと選び方|水中撮影|Step12

コンバージョンレンズとは、TGカメラの前に取り付けて写る範囲や近づける距離を変えるアクセサリー(焦点距離=写真の画角を変えるために後から付けるレンズの総称)です。ワイドレンズ(広く写すレンズ)は地形やダイバーを入れやすく、クローズアップレンズ(小さな被写体に寄るレンズ)はマクロ撮影を強化できます。この記事では、水中で撮りたい被写体に合わせたレンズ選びと使い分けを解説します。

水中では、被写体との距離や透明度、光の届き方が写真に大きく影響します。ワイドで広く見せるのか、クローズアップで小さな主役を見せるのかを考えるだけで、撮影の組み立てがしやすくなります。

TGカメラのコンバージョンレンズは、水中でマクロから広角へ表現を広げられる点が魅力です。伊豆のマクロな海と、慶良間のように青が広がる海の両方に潜ってきた私も、撮りたい被写体に合わせて画角を変えられる便利さには何度も助けられました。

小魚の群れとサンゴ礁の広がりを広角で写した水中写真

インドネシア バリ島/TG-6にて撮影

目次

1.ワイドで景色ごとみせる

ダイナミックな地形や、広々とした海とダイバーを撮りたいときは、ワイド系のコンバージョンレンズの装着がおすすめです。標準のTGカメラのレンズよりも、より広い範囲を写せるようになるため、主役だけでなく、その周りの環境まで一枚に入れやすくなります。

また、水中では、離れて撮るほどカメラと被写体の間に水の層が増え、色や輪郭がぼんやりしやすくなります。ワイドレンズを活用すると、近い距離から広く写せるため、透明度の影響を少し抑えながら、より迫力のある写真を撮ることができます。

たとえばサンゴの群生、岩場の地形、ダイバーが泳ぐ姿などは、ワイドレンズで撮るとその場所の空気感が伝わります。TGカメラで広く撮るときは、ただ景色を入れるだけでなく、手前にサンゴや岩、中ほどに主役を入れると奥行きが出ます。

ワイドコンバージョンレンズで海の広がりを伝える撮り方の図解

2.クローズアップで小さな主役に迫る

小さな生き物を大きく見せたいときは、クローズアップ系のコンバージョンレンズが向いています。ウミウシ、エビ、カニ、小さな魚の顔など、細部を見せたい被写体で効果を感じやすいです。

TGカメラはもともと近接撮影に強いカメラですが、クローズアップレンズを使うと、さらに小さな主役に迫った表現がしやすくなります。模様、目、質感など、肉眼では見過ごしやすい部分を写真に残せます。

ただし、近づくほどピント合わせは繊細になります。水中では呼吸やうねりで体が少し動くため、中性浮力を整えてから撮ることで、写真の失敗を減らせます。被写体に近づきすぎて砂を巻き上げたり、生き物を驚かせたりしないよう、落ち着いた距離感で構えます。

※前述の通りTGカメラは顕微鏡モードがかなり活躍するカメラです。顕微鏡モードでも満足できなくなってからクローズアップレンズを検討することをおすすめします。

クローズアップレンズで小さな主役に迫る撮り方の図解

3.被写体に合わせて使い分ける

コンバージョンレンズは、被写体に合わせて使い分けることで、写真の失敗を減らせます。広い景色やダイバー、地形を見せたいならワイド。小さな生き物や細かな模様を見せたいならクローズアップレンズ(又は顕微鏡モードの活用)。この考え方を持つと、撮影中に迷いにくくなります。

水中では、エントリー前にその日の海やポイントの特徴を聞いておくと、使うレンズを選びやすくなります。透明度がよく、地形や群れが期待できるならワイド寄り。マクロ生物が多い場所ならクローズアップ寄りに準備します。私も初めて潜るようなポイントでは、「ワイドとマクロ、どちらがおすすめの海ですか?」と素直にガイドさんに聞くようにしています。(事前にテーマやイメージを決めている場合はその限りではありませんが…)

もちろん、潜ってみると予想と違うこともあります。大切なのは、レンズを付けたからその撮り方にこだわるのではなく、目の前の被写体に合わせて考えることです。TGカメラはコンバージョンレンズを使わなくても、マクロからワイドまで対応できる強みがあるので、被写体の大きさや距離を見ながら、無理なく使い分けていきます。

被写体に合わせてワイドとクローズアップのレンズを使い分ける図解

4.装着前後(状態)をチェックする

コンバージョンレンズを使うときは、装着前後(状態)のチェックが大切です。しっかり装着できていないと、撮影中にずれたり、画面の端に影が出たり、最悪の場合は落下につながることもあります。

エントリー前には、レンズが正しく固定されているか、ゆるみがないか、汚れが付いていないかを確認します。水中で装着する場合も、慌てずに手元を確認しながら行います。流れがある場所や浮力が安定しない場面では、無理に交換しないという判断も重要です。

TGカメラは水中で扱いやすいカメラですが、レンズを追加すると機材の厚みや重さ、手元の感覚が少し変わります。撮影前に一度構えてみて、ライトやストロボとの干渉がないか、持ち方が安定するかも見ておくと水中でも安心して撮影できます。

コンバージョンレンズの装着前後を確認する手順の図解

5.まずは違いを理解するために撮り比べる

コンバージョンレンズに慣れるには、撮り比べることが近道です。同じ被写体を、レンズなし、ワイド、クローズアップで比べてみると、それぞれの特徴が分かりやすくなります。

ワイドでは周囲の環境が入り、クローズアップでは主役の細部が強く見えます。同じサンゴでも、広く撮れば海の景色になり、近くで撮れば模様や質感の写真になります。どちらが正解というより、何を伝えたいか、どう表現するか、で選びます。

水中では時間や残圧に限りがあるため、毎回すべてを試す必要はありません。流れが弱く、被写体が動きにくい場面で段階的に撮り比べると、使い分けの感覚が身につきます。TGカメラを使うほど、自分が好きな距離感や画角も見えてきます。

同じ主役をワイドとクローズアップで撮り比べた違いを示す図解

6.まとめ

コンバージョンレンズは、TGカメラで撮れる世界を広げてくれるアクセサリーです。ワイドなら海の広がりを、クローズアップなら小さな被写体の細部を見せやすくなります。(例えコンバージョンレンズが無かったとしても、そもそもTGカメラ単体で画角を大幅に変えられるので、初めのうちはコンバージョンレンズの導入は保留でも困ることは無いかと思います。)

個人的なおすすめは、潜る前にその日の主役やテーマをある程度決めることです。水中で付け替えや確認に追われると、浮力や周囲への注意が散りやすいからです。

次のダイビングでは、画角別(コンバージョンレンズがある方はレンズ別)に、あえて同じ場面・生物で撮り比べてみるとイメージの違いに新しい学びがあるかと思います。アクセサリーは増やすほど良いというより、撮りたい写真に合うものを選べるようになることが大切だと考えています。

水中撮影Step12 コンバージョンレンズの使い分けと選び方のまとめ図解
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この記事を書いた人

福田 翼|会社員/フォトグラファー/出張カメラマン
執筆ジャンル:旅/観光/カメラ/IT
カメラ歴10年以上。20代で全国47都道府県を撮影。出張カメラマンとしても個人・法人・官公庁まで、幅広い撮影実績があります。「旅するフォトグラファー」としても、実際に訪れて現地で撮影した写真をSNS等で紹介しています。

ブログで大切にしているのは、現地で見て・感じて・撮った「本物の情報」です。旅行が趣味の方、カメラが趣味の方にも気軽に読んでいただけるよう、難しい専門用語はできるだけ避け、解説する時は可能な限り分かりやすい表現を心がけています。読んでくださった方が「行ってみたい」「撮ってみたい」と思えるような、旅やカメラの魅力、関連情報をお届けできたら嬉しいです。

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