外部ストロボとライトで作る多灯ライティング|水中撮影|Step11

多灯ライティングとは、外部ストロボやライトを複数使い、被写体の色や立体感を整える水中撮影の方法です。水中では赤や黄色の光が失われやすく、ライトの角度によって色の戻り方や浮遊物の写り方が変わります。この記事では、TGカメラで外部ライトを使うときの基本と、1灯から2灯へ広げる考え方を解説します。
外部ライトを使うと、被写体の色を戻したり、影を作って立体感を出すことができます。さらに2灯以上を使う多灯ライティングでは、片側だけを強調したり、影をやわらげたり、背景の明るさを、それぞれ別々に調整することもできます。
ライティングを覚えると、TGカメラで撮れる写真の印象は大きく変わります。一眼レフやミラーレスを長く使ってきた私でも、コンデジでも光を丁寧に当てればここまで写るのか、と感じた場面が多々あります。

インドネシア バリ島/TG-6にて撮影
1.外部ライトは角度で印象が変わる
外部ライトは、どこから当てるかで写真の印象が変わります。正面から当てると色は分かりやすく出ますが、平面的に見えることがあります。一方で、少し横や斜めから当てると、影が生まれて被写体の形が見えやすくなります。
水中では浮遊物があるため、ライトを真正面から強く当てると白い点が目立つことがあります。透明度が低い日や砂地では、光の中心を少し外すだけでも写り方が変わります。
TGカメラで外部ライトを使うときは、先に被写体に対してライトの角度を段階的に変えてみます。同じ強さでも、上から、横から、斜めからでは雰囲気が大きく異なります。光量だけでなく角度も意識することが、多灯ライティングの第一歩です。

2.片側から当てて立体感を出す
立体感を出したいときは、片側から光を当てる方法が使いやすいです。左右どちらかから光を入れると、明るい部分と影の部分ができ、被写体の形や凹凸が分かりやすくなります。
ウミウシの模様、エビの透明な体、サンゴの表面などは、片側からの光で質感が出やすい被写体です。TGカメラの顕微鏡モードや近接撮影と組み合わせると、小さな被写体も存在感が生まれます。
ただし、影が強すぎると不自然に見えることがあります。ライトを少し遠ざける、角度を浅くする、反対側から弱い光を足すなど、影を見ながら微調整します。水中では体もライトも揺れやすいので、中性浮力を整えてから構えることで、写真の失敗を減らせます。

3.後ろや斜め後ろから当てて雰囲気を変える
いつもと違う雰囲気を出したいときは、後ろや斜め後ろから光を当てる方法もあります。逆光気味にライトを使うと、被写体の輪郭が光り、透け感やシルエットが強調されます。
身近な場面では透明感のあるエビや、ヒレが目立つ魚、小さなサンゴの枝などは、後ろから光が入ると印象的に見えることがあります。背景が暗い場所では、輪郭の光がより目立ちます。私が大瀬崎のナイトダイビングで浮遊系の生物を撮ったときも、バックライトに近い斜め後ろからのライティングで、透明な体の輪郭がふっと浮かび上がった瞬間の感動を今でも覚えています。
この撮り方は、ライトの位置や角度が少し難しくなります。被写体を驚かせない距離を保ち、サンゴや岩に機材をぶつけないように注意します。無理にライトを差し込むより、安全にライティングできる角度で試すほうが水中では現実的です。

4.2灯で影をやわらげる
2灯を使うと、片側の強い影をやわらげやすくなります。メインのライトで主役を照らし、反対側から弱めの光を足すと、立体感を残しながら自然な明るさに整えられます。
両方を同じ強さで正面から当てると、明るくはなりますが、のっぺり見えることがあります。多灯ライティングでは、片方を主役の光、もう片方を影を補う光として考えると扱いやすいです。
TGカメラで2灯を使う場合も、最初から複雑に考えすぎる必要はありません。最初は1灯で形を作り、影が強いと感じたら2灯目を弱く足します。水中ではライト(ストロボ)の向きが少しずれるだけで結果が変わるため、撮ったあとにモニターで確認しながら微調整します。

5.主役にだけ強く、背景は弱めにライティング
写真の主役をはっきり見せたいときは、主役にだけ強く光を当て、背景は少し弱めにすると効果的です。主役と背景の明るさに差が出ることで、視線が自然に被写体へ向かいます。
水中では、背景まで均一に明るくしようとすると、浮遊物や岩肌の情報が目立ちすぎることがあります。特にマクロ撮影では、主役の周辺だけに光を集めるほうが、写真としても見て欲しい部分をアピールできる作品に仕上がります。
TGカメラで外部ライトを使うときは、ライトを広く当てるだけでなく、少し絞るような感覚で主役に向けます。背景を完全に暗くする必要はありません。主役より一段弱く見える程度に整えると、自然で見やすい水中写真になります。

6.まとめ
外部ストロボやライトを使うと、TGカメラでも色や立体感をかなり引き出せます。ただし、ライティングを意識するほど操作も増えるため、浮力や構図がおろそかになると写真が不安定になります。
私なら、最初から2灯を完璧に使おうとせず、1灯で被写体の形を出してから、足りない光をもう一方で補います。特に、光の扱いに慣れるまでは1灯でコツを掴むことが、ライティング上達の最短ステップだと考えています。
次の撮影では、光量だけでなく、ライトやストロボの位置を小さく変えて見比べてみてください。多灯ライティングは派手な装備というより、主役を見せるために光を整理する大切な考え方です。









