引きの構図で海の環境ごと伝える撮り方|水中撮影|Step9

引きで環境を撮るとは、被写体だけを大きく写すのではなく、その周囲の地形、青い水、ダイバー、光の入り方まで一緒に写す撮り方(ワイド撮影)です。TGカメラはマクロに強い印象がありますが、少し引くことで生き物がどんな海にいるのかを伝えられます。この記事では、水中の雰囲気や物語を残すための引きの構図について解説します。
私はもともと日本各地(地上)の絶景をワイド寄りで撮影してきたこともあり、水中でも環境を入れた写真(特に地形やダイバーがメインとなる一枚)に強く惹かれます。TGカメラでも近い距離からワイドでも撮る習慣を持つと、海の空気感やそのポイントの特徴を一枚の写真として残しやすくなります。

沖縄県慶良間諸島/TG-6にて撮影
1.主役だけではなく環境も入れる
引きの写真では、主役だけでなくそのポイントの環境も入れることで、よりダイナミックな一枚に仕上がります。魚やサンゴ、ダイバーを単体で写すだけでは伝わりにくい「どんな場所にいたのか」が、周囲を入れることで見えてきます。
たとえばサンゴのそばにいる魚を撮るなら、魚だけに寄るのではなく、周囲のサンゴや海の透明感も背景に少し取り入れます。岩場にいる生き物なら、岩の形や陰を残すことで、その場所の雰囲気がより伝わります。
水中では背景の岩や浮遊物が思った以上に写るため、主役の後ろを一度確認したいところです。主役をどこに置くか、背景が抜けているかを合わせて見ると構図が整います。
また、TGカメラで環境を入れるときは、主役が小さくなりすぎないように注意します。何を見せたい写真なのかを決めてから、周囲をどこまで入れるか考えると、情報過多の写真になりにくいです。どこまで写すかの線引きが大切です!

2.ダイバーや地形を入れる
ポイントのダイナミックさを見せたいときは、ダイバーや地形を入れると効果的です。ダイバーが入ることで、ポイントのスケールや奥行きが伝わりやすくなります。
洞窟の入口、根の周り、砂地に伸びる影、サンゴなどは、TGカメラでも引きで撮ると雰囲気が出やすい場面です。ダイバーを小さく入れると、写真を見る人がその場にいるような感覚を持ちやすくなります。
私の身近なお気に入りワイドポイントとして、熱海の沈船や洞窟、西伊豆の土肥のポイントがあるのですが、そこで撮影する時は意図的にダイバーを入れる事で、スケール感や雰囲気が伝わるなと実体験からも感じています。北海道の柱状節理や流氷ダイビングなんかも、その考えを応用することで、自然のダイナミックさが伝わるような撮影もしています。

3.近づいてから広く撮る
水中では、カメラと被写体の間に水の層があるため、距離があるほど色や輪郭がぼんやりしやすくなります。
先に被写体や地形に近づき、そこから段階的に広く撮ると、主役の存在感を残しながら環境を入れやすくなります。近づいてからカメラを少し引く、角度を変える、背景を広げたり、整えるといった順番です。
TGカメラで撮るときも、ただズームで調整するより、自分が少し動いて遠近感を作るほうが自然に見えます。(デジタルズームの場合は画質も劣化してしまうので…)

4.光や水の透明度も活かす
引きの環境写真では、光や水の透明度も大切な要素です。透明度がよい日は、遠くの地形やダイバーまで見えやすく、透き通る青色もきれいに出やすくなります。
浅場では太陽光が入りやすく、水面からの光の筋や明るい青を活かせます。逆光気味に撮るとシルエットが出たり、順光で撮るとサンゴや地形の色が見えやすくなったりします。小笠原のように透明度の高さが当たり前のような海では、光の筋がそのまま構図の主役になることもあります。
一方で、透明度が低い日は無理に遠くまで写そうとせず、少し近い範囲でベストショットを狙うと失敗する確率は減ります。天候や透明度はコントロールできないため、その時の海の環境に合わせて、写す範囲を狭めたり、マクロだけに絞った撮影に合わせる事がポイントになるかと思います。

5.前景・中景・背景の3つの層を意識する
引きの写真に奥行きを出すには、前景・中景・背景の3つの層を意識します。手前にサンゴや岩、中間層に主役、奥に海の青やダイバーといった形で構図を整えると、写真に遠近感が生まれます。
水中では距離感がつかみにくいことがありますが、この層を大まかに意識すると構図を作りやすくなります。前景があると写真に入り口ができ、中景の主役に視線が向き、背景で場所の広がりや環境を伝えられます。
手前の岩やサンゴを入れすぎると情報が多くなってしまうので、気持ち入れる程度…が写真の構図としては扱いやすいです。最初は「手前・主役・奥」の3つが入っているかを確認してみると、引きの写真がまとまるかと思います。

6.まとめ
引きの写真(ワイド撮影)は、被写体だけでなく、その生き物がいる場所や海の雰囲気まで伝えられる撮り方です。近くで撮るマクロに慣れるほど、周囲を入れる発想を忘れやすくなります。
私が環境を入れるときは、主役を小さくしすぎないことを意識します。広く写したつもりでも、主役がどこか分からない写真になることがあるので、手前・主役・奥行きの関係を組み立てて一枚を撮る事が多いです。(都度考えるというより、感覚的にそう構えている事が多いです)
次のダイビングでは、寄りの写真を撮ったあとに、同じ被写体を少し引き寄りでも、ぜひ撮ってみてください。海の青、地形、光の入り方、ダイバーなどが加わると、その場にいた空気感をセットで残せる思い出の一枚になるはずです!

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