顕微鏡モードで撮る水中マクロの基本|水中撮影|Step3

顕微鏡モードは、TGカメラで小さなウミウシ、エビ、サンゴの模様などを大きく写しやすくする近接撮影機能です。水中では近づくほど色や質感を出しやすくなりますが、体が少し動くだけでピントが外れたり、砂を巻き上げたりすることもあります。この記事では、顕微鏡モードを使って小さな被写体を安定して撮るための距離、ピント、光の見方を整理します。

水中では、ウミウシやエビ、サンゴの模様、小さな魚の表情など、近づいて初めて見えてくる世界があります。ただ、近づけば必ずきれいに撮れるわけではありません。ピント、角度、背景、光の当て方が少し変わるだけで、写真の印象は大きく変わります。

TGカメラの顕微鏡モードは、コンパクトカメラの印象をよい意味で変えてくれた機能のひとつです。私も伊豆の海でこのモードを試し、ウミウシの触角の先まで写った一枚を初めて見たときは、素直に驚きました。

私は実際に小さな被写体を撮るとき、ウミウシや小さなエビなら、目や顔の向きが分かる角度を探してから、TGカメラの近接撮影の強さを使うようにしています。

砂地に潜む小さなイカを接写した水中マクロ写真

ミミイカyg/TG-6にて撮影

目次

1.まずは近づく

顕微鏡モードを活かす最初のポイントは、被写体にしっかり近づくことです。TGカメラは近接撮影に強いカメラなので、離れた場所から無理に拡大するより、撮れる距離まで近づいたほうが細部を写しやすくなります。

水中では、カメラと被写体の間に水があります。被写体まで距離があると、浮遊物や濁りの影響を受けやすく、写真がぼんやりしがちです。近づくことで水の層が少なくなり、生き物の色や質感が出しやすくなります。

ただし、急に寄ると生き物が隠れたり、フィンで砂を巻き上げてしまうことがあります。一息置いて中性浮力を整え、呼吸を落ち着かせ、ゆっくり距離を詰める事がポイントです。また、シャッターを切る前に、自身の体が安定しているか確認すると、よりピントも合わせやすくなります。

被写体に近づくと写真がどう変わるかを比べた図解

2.AFロックでピント固定

マクロ撮影では、AFロックを使ってピントを固定すると撮影しやすくなります。小さな被写体は少し体が揺れただけでもピント位置がずれやすく、毎回オートフォーカスを合わせ直すとタイミングを逃すことがあります。

AFロックで一度ピントを決めておくと、あとは手元をわずかに前後させながら、ベストな構図を探せます。水中では波やうねり、呼吸による浮き沈みがあるため、この方法はかなり実用的です。うねりの入るビーチで撮っていると、この「体で合わせる」感覚に助けられる場面が本当に多いです。

被写体に寄るほどピントの余裕(ピントが合う前後の領域)は小さくなるため、呼吸と浮力を安定させる事がポイントです。

身近な場面では岩の上にいるウミウシを撮るとき、カメラ任せでピントを追い続けると、背景の岩や手前の粒にピントが引っ張られることがあります。AFロックを使えば、狙いたい部分に集中しやすくなり、TGカメラのマクロ性能を安定して使えます。

AFロックでピントを固定して構図をつくる手順の図解

~カメラの操作について~
水中モードを使用している場合、撮影画面で Aボタン を押すことでもAF/AEロックが可能です。(AEは明るさの固定です)
顕微鏡モードでは、OKボタンがAFロックに割り当てられている場合があります。

3.顔や目にピントを合わせる

生き物を撮るときは、できるだけ顔や目にピントを合わせます。写真を見る人は、自然と目や表情に視線を向けるため、そこが合っているだけで写真の印象がぐっと良くなります。

ウミウシの触角、エビの目など、その時の自身の感覚によって「見せたい場所・記録として残したい場所」は変わります。なんとなく全身を写そうとして中途半端になるより、主役になる部分を決めて撮る又は、目にピントを合わせる方がより自然な写真を狙うことができます。

水中では被写体も自分も動くため、完璧に合わせるのは簡単ではありません。だからこそ、最初に観察して、どちらを向くのか、どの瞬間に止まりそうかを見ることで、写真の失敗を減らせるかと思います。焦らず数枚撮り、ピントが合った一枚を残すくらいの気持ちで向き合うと、写真の成功率が上がります。

水中生物の顔や目にピントを合わせるコツの図解

4.角度と背景を調整する

顕微鏡モードでは、角度と背景も重要です。小さな被写体は、上からそのまま撮ると記録写真のようになりやすく、背景がごちゃつくと主役が目立ちません。

少し低い角度から撮ると、被写体の形や表情が見えやすくなります。さらに青く抜ける背景をバックに選ぶと、主役の被写体がが浮かび上がることもあります。TGカメラは小回りが利くので、無理のない範囲でカメラの高さや向きを変えてみると、写真の印象ががらっと変わります。

ただし、水中では姿勢を変えるほどサンゴや砂地に接触する可能性が高まります。撮影に夢中になって、フィンや膝が当たらないよう、周囲を確認してからカメラを構えることも大切です。

角度と背景を調整して主役を目立たせる手順の図解

5.光を意識して質感を出す

マクロ撮影では、光を意識すると写真の雰囲気が驚くほど変わります。水中では光が届きにくく暖色(赤や黄色)から順に分かりにくくなっていきます。この影響で自然光だけでは被写体の色が沈んで見えることが多々あります。

近い被写体なら、フラッシュやライトを使うことで色や生物の凹凸が分かりやすくなります。サンゴの表面、エビの透明感、ウミウシの模様などは、光が入るだけで印象が変わります。正面から強く当てるだけでなく、少し斜めから光を入れると、立体感が出る場面もあります。私もマクロ撮影では、ライトやストロボの角度だけを変えて撮り比べることがありますが、光の入り方ひとつで模様の立体感がまったく違って見えるのが、マクロ撮影の面白さだと感じています。

一方で、透明度が低いときや浮遊物が多い場所では、フラッシュの反射が白い点として目立って写ることがあります。その場合は光を弱める、角度を変える(カメラからみて正面から当てない)、自然光を活かすなど、状況に合わせて調整します。顕微鏡モードは細部を写せる分、光の当たり方についても、良くも悪くも写真で表面化しやすいです。

順光・横光・逆光で質感が変わることを示した図解

~補足~
順光:正面から当たる光(集合写真の撮影はこれです)
サイド光:横から当たる光
逆光:被写体の裏側から当たる光
※他にも上から当てるトップ光、複数の光源を組み合わせたライティングなどがあります。

6.まとめ

顕微鏡モードは、TGカメラらしさ(強み)を発揮するモードです。小さな被写体に寄れるぶん、ピント、背景、光のズレも写真に出やすくなります。

私がマクロ撮影で一番気をつけているのは、寄る前に体を止め一息観察することです。ほんの少し前後するだけで、ウミウシの触角や小さな幼魚の目からピントが外れることがあるため、生物の一歩先の行動を意識しつつ、自身も安定させることで、失敗を減らすよう心がけています。

次に使うときは、いきなり最大まで寄らず、少し離れた位置で向きと背景を決めてから距離を詰めてみてください。TGの近接性能は、落ち着いて使うほど小さな世界をさらに綺麗に見せてくれるはずです!

水中撮影Step3 マクロ撮影を攻略するまとめ図解

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この記事を書いた人

福田 翼|会社員 / フォトグラファー / 出張カメラマン
執筆ジャンル:旅 / 観光 / カメラ / IT
カメラ歴10年以上。20代で全国47都道府県を撮影。出張カメラマンとしても個人・法人・官公庁まで、幅広い撮影実績があります。「旅するフォトグラファー」としても、実際に訪れて現地で撮影した写真をSNS等で紹介しています。

ブログで大切にしているのは、現地で見て・感じて・撮った「本物の情報」です。旅行が趣味の方、カメラが趣味の方にも気軽に読んでいただけるよう、難しい専門用語はできるだけ避け、解説する時は可能な限り分かりやすい表現を心がけています。読んでくださった方が「行ってみたい」「撮ってみたい」と思えるような、旅やカメラの魅力、関連情報をお届けできたら嬉しいです。

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