水中で被写体を見つける観察の視点|水中撮影|Step2

水中撮影で被写体を見つける視点とは、目立つ魚だけを追うのではなく、岩陰、砂地、サンゴの隙間、流れの当たり方まで観察することです。小さな生き物は背景に溶け込んでいることも多く、見つける力がそのまま撮影チャンスにつながります。この記事では、TGカメラを持って潜るときに、何を見れば被写体に気づきやすくなるのかを解説します。
私も伊豆で潜り始めたころは、目立つ魚ばかり追ってしまいがちでした。ある程度ダイビングの技術も向上し、少し立ち止まって岩陰やサンゴの裏を見るようにすると、小さな目立たない生物との遭遇率がぐっと上がる瞬間がありました。今回はそんなマクロ撮影時の生物の探し方の視点を私なりに整理したのでご紹介します。

ハマクマノミ/TG-6にて撮影
1.砂地だけ見ない
砂地は広くて見通しがよいため、つい目が向きやすい場所ですが、そこだけを見ていると出会える生物の種類が限られてしまいます。
もちろん砂地にも、ハゼやエビ、隠れるようにしている魚など、魅力的な被写体はいます。ただし、砂地の生き物は背景になじんでいることが多く、慣れないうちは見落としやすいです。さらに近づき方が荒いと、フィンで砂を巻き上げてしまい、透明度が落ちて撮影しにくくなります。
私が大瀬崎のような砂地の広いポイントで撮影するときは、砂地を広く眺めたあと、すぐに周囲の岩やサンゴ、海藻の境目にも目を移すようにしています。砂地と岩場の境界には、小さな魚が集まっていたり、隠れ場所を探す生き物がいたりします。広い場所だけでなく、変化のある場所を見ることで、ついTGカメラで撮りたくなるような小さな生物が見つかるようになります。

2.岩の隙間も確認する
岩の隙間は、水中で被写体を探すうえでとても重要な場所です。多くの生き物は、流れや外敵を避けるために、岩のくぼみや割れ目に身を寄せています。
特に小さな魚、カニ、エビ、ウツボなどは、開けた場所よりも陰のある場所で見つかることがあります。TGカメラは接写にも向いているので、岩の隙間にいる小さな被写体とも撮影の相性が良いです。
ただし、岩に手をついたり、無理にライトやカメラを差し込んだりするのは避けたいところです。サンゴや生き物を傷つけるだけでなく、自分の姿勢も崩れやすくなります。中性浮力を保ちながら、最初は少し離れた位置からのぞくように観察します。生き物がいると分かったら、呼吸を落ち着けて、ゆっくり距離を詰めると撮影しやすくなります。

3.サンゴの裏や陰を見る
サンゴの裏や陰にも、被写体はよく隠れています。明るい海ではサンゴの表面ばかり見てしまいますが、実際には陰になった部分に小さな魚やエビがいることがあります。
水中では太陽の角度によって、サンゴの裏側や根元に影ができます。その暗い部分は、天敵からも隠れやすく、生き物にとって落ち着ける場所になりやすいです。TGカメラで撮影するときは、サンゴ全体を撮るだけでなく、陰の奥に何か動きがないかを見ると、被写体の幅が広がります。
陰にいる被写体を狙うときは、近づく前に一度止まり、ライトの向きや背景の入り方を確認してから狙うとベストショットを抑えやすいです。撮影前の数秒を惜しまないことで、写真のクオリティーが安定します。

4.小さな動きと異変に気付く
水中で被写体を見つけるには、小さな動きや異変に気付くことも大切です。魚の群れのような分かりやすい動きだけでなく、砂の上で少しだけ揺れる影や、岩肌と違う色の点にも目を向けます。
身近な場面では、砂の一部がふわっと動いたり、岩の表面に小さな突起があったりすると、そこに生き物が隠れていることがあります。ウミウシのようにゆっくり動く被写体は、最初は模様に見えることもあります。私もダイビングはじめたての頃、伊豆の岩場で、模様だと思ってスルーしかけたものが、実は小さなウミウシだったことが何度もありました。慣れてくると、「なんか違う」という違和感が、被写体探しのアンテナの一つになります。
細部を写すときは、ほんの少しの揺れでもピンと位置がずれてしまう事を意識したいところです。小さな被写体を狙うときは、早く撮りたい衝動を抑えて、止まれる距離から徐々に詰める撮影がおすすめです。(生物も驚いて隠れてしまうので…)

5.近づく前に観察する
被写体を見つけたら、すぐに近づくのではなく、先に観察することで、失敗写真を減らせます。水中の生き物は、こちらの動きに敏感です。急に寄ると隠れてしまったり、向きが変わって撮りにくくなったりします。
最初に少し離れた位置で、被写体の動き方や逃げる方向、光の当たり方を確認します。どの角度から近づけば背景がきれいに入るか、フラッシュを使うべきか、自然光で撮るべきかも、この時点で考えやすくなります。可能であればこのタイミングでカメラ本体の設定も固めておいた方が、撮影の成功率はぐっと高まります。

6.まとめ
水中で被写体を見つけるには、泳ぎながら広く見る視点と、岩陰やサンゴの隙間をゆっくり見る視点の両方が役立ちます。見つけた瞬間に近づきすぎると、相手が隠れたり、自分の姿勢が崩れる原因にもなりますのでその点は注意が必要です。
私の場合、狙いたい被写体ほどすぐ寄らず、まず周囲の流れや背景、光の入り方などをよく見ます。プロダイバーではないので、自身を安定させる目的もありますが、それと同時に設定を詰める瞬間でもあります。この一呼吸が、写真の印象をかなりかえる大切な瞬間だと考えています。(安全第一で撮影するためにも)
被写体探しは運だけではなく、観察の時間を作る、いつもと違う違和感を感じるほど撮影チャンスが増えていきます!
いつもはガイドさんに案内してもらうだけ…という方も、ぜひ被写体探しを楽しんでみてください。
撮影に関係なく、ダイビングそのものが一味違った時間になるかと思います!

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